2024/05/22(水) 06:52
地域に馴染めない問題を解決する方法-長野県佐久市のホシノマチ団地を事例として-
私は、2021年3月に長野県佐久市に移住してきた移住者です。
もともとは長野県の他の地域に暮らしていましたが、夫の転職とともに夫婦で引っ越してきました。
私自身、佐久市に転居してから仕事を探し、働いていましたが、2022年夏にホシノマチ不動産を立ち上げ、今に至っています。
そんな私の想いはこちらに記載させていただきましたが、今回はそのきっかけとなったホシノマチ団地の取り組みについてご紹介できればと思います。
というのも、ホシノマチ団地での取り組みが私が不動産屋さんをはじめるきっかけで、この仕組みが日本全国に広がれば、もっと暮らしやすい日本が実現できるのではないかと考えているからです。
ホシノマチ団地が解決した課題とは…地域になじめない問題
ホシノマチ団地は、住まい、仕事、コミュニティの3つのカテゴリーでいろいろな課題解決をしながら実現した取り組みですが、一番影響が大きいのはコミュニティの問題だと考えています。
その理由は、移住する時に、最も大きな課題は地域になじめないという問題だからです。
地域になじめない理由としてはさまざまですが、基本的には地元の人たちに受け入れられないといったことが主なものになります。
移住者からすると、行政がこのまちは良いですよとPRをしていて、良いなと思って行ったのにという思いがあるかと思います。
行政側は人口減少問題に対抗するだめに移住者を増やしたいという思いがあるのですが、実際に受け入れる地域としてはそれを望まないというギャップが生じているんです。
もちろん、地域の人たちもこのままでは地域が衰退していってしまうと漠然とした危機感を持っているのは事実です。
しかし、総論としては賛成でも、いざ自分の地域に来るとなると話は別といったことが実際のところかと思います。
よく聞くのが、移住者は移住者向けのエリアを作って暮らせば良いという話です。
行政や移住者としては、地域の人たちと交わって、地域の人たちと一緒に地域を作っていってほしい、作りたいという想いがあっても、受け入れる地域の人たちはそれをのぞんでいないということですね。
この交流の度合いの温度感が地域と移住者では異なるというのが最大の問題です。
実は、地域の人たちからすると、地域で交流するというのは自治会に入って、地域の役割を担って、日常の生活も含めて交流するといったレベルのものをイメージしています。
お互いの家族のことも気になりますし、どういった仕事をしているのかといったことも知りたいと思っていると思います。
一方で、移住者は都会的な考えで、必要なときだけ、必要な事柄について一緒に取り組むといったイメージです。
必要以上の情報は提供する必要がない、もしくはしたくないといった人が多いのではないでしょうか。
そのギャップがきっかけで、新しく来た人は閉鎖的でみたいな話が出てくるので、ここが一つのポイントかと思います。
実際は移住する側も何も情報をオープンにしくないというわけではなく、ある程度心の準備もしていると思います。
ただ、地域の人たちも移住者も人なので、ちょっとした行き違いが積み重なって大きくなっていくということが発生してしまうのかと思います。
なぜホシノマチ団地地域になじめない問題を解決できたのか
ホシノマチ団地はそんな地域と移住希望者の課題を解決した住まいになっています。
移住者専用という意味
その方法としては、団地が移住者専用であるということ。
隣近所がすべて移住者なので、地元の文化を知らなくてもお互い様なので、あまり気にせずに過ごせます。
実際に地域に住んでみれば、その地域の文化を実感できますし、突然文化を押し付けられるといったことがないので安心です。
スタッフが常駐という意味
もう1つは、スタッフが365日常駐しています。
団地なので、もともと集会所があり、そこにスタッフがいる形ですね。
何か困ったことがあれば、聞けますし、一番は地域を知っている知り合いができるので、何かやりたいなと思った時に誰にコンタクトを取れば良いかがわかるということですね。
通常は、市役所に行くところを、まずは地元の人に聞いてみて、どういう状況なのかを把握する。
それで解決できることがほとんどかと思います。
市役所に行ってみても、職員の人が地域のことを知っているとは限りません。
また、部署が違えば他の部署へと紹介されて、時間がかかってしまうケースも多いです。
身近なところに聞ける人がいるという安心感は大きいのではないかと思います。
徒歩0分のコワーキングスペースの存在
スタッフが常駐している集会所ですが、コワーキングスペースになっているので、リモートワークをする時などに利用することができます。
地域にも開放しているので、地域の人と交流する機会も生まれています。
地域になじむ際に、いきなり地域に出ていくというのもありなのですが、このコワーキングスペースで自分の得意なことや関心のあることをテーマにイベントを実施して、地域の人に来ていただくと、地域のネットワークが広がりやすい環境になると思います。
集会所ではなく、コワーキングスペースというのも一つポイントです。
地域には公民館など、人が集まる場というのは行政がやっているのですが、コワーキングスペースという仕事をテーマにした場所だからこそ、特定のテーマに関心の合った人が集まるというメリットがあります。
世代としても働く世代が集まるので、近い世代で集まりやすいという強みもありますね。
ホシノマチ団地の仕組みは地域でもつくることができる
私は、このホシノマチ団地の仕組みは地域でもつくることができると考えています。
それを担うのがホシノマチ不動産です。
私たちの事務所がホシノマチ団地のコワーキングスペースの中にあるということもあって、団地との連携がしやすいということもありますが、何よりも私たちが取り組みたいのは、地域との接点の作り方のサポートです。
物件を紹介して終わりではなく、その後も地域を一緒に盛り上げていこう、そんな想いを持ちながら関わっていければと考えています。
移住者にとっての移住のハードル、リスクが大きかったものを、少しでも和らげたい。
移住者にとっての入門住宅のようなものができないか。
そんな想いでできたのがホシノマチ団地です。